社員教育の基本はPM理論
社員教育はPM理論を用いて解説されることがよくあります。
PM理論とは、日本の社会心理学者である三隅二不二(みすみ じゅうじ)氏らにより、1966年に提唱されたリーダーシップ論です。
PM理論では、組織において個人と集団を発展させるために、「P(Performance function)目標達成機能」と、「M(Maintenance function)集団維持機能」の二つの機能が必要と考えられています。
目標達成機能
営業組織における目標達成機能は、「売上目標達成に向けた行動管理」と言い換えることができます。
- 毎月の売上達成のために、行動目標を立てる
- 行動目標の進捗を管理する
- 目標達成のために不足している営業スキルをトレーニングする
- 契約や値引きのルールを守るよう、指導する
集団維持機能
集団維持機能は、人間関係を良好に保ち、チームワークやモチベーションを強化・維持するための機能です。営業組織では特に、「上司・部下間や、教える側と教わる側の間のコミュニケーション」がポイントとなります。
- メンバーの心理状態を気づかい、定期的に声をかける
- メンバーが質問や相談をしやすい雰囲気を作る
教える側と教わる側が、顔を突き合わせてやり取りできないテレワーク環境では、売上目標達成に向けた行動管理(Perfomance)、上司・部下間や教える側と教わる側の間のコミュニケーション(Maintenance)ともに困難であり、もっとも理想的とされるPM型のリーダーシップが取りづらくなります。
テレワーク下での営業教育の課題
目標達成機能の課題
仕事の進捗に合わせてリアルタイムに指導できないことがテレワークの大きな課題です。テレワーク下では、営業プロセスの進捗を把握しにくく、適切なタイミングでのアドバイスが困難です。
これを解消するためには、営業プロセスを定め、メンバーが現在どのプロセスに取り組んでいて、何に困っているかを先輩社員に共有することです。例えば、企画書の作成に手間取っているなら、似た過去案件のサンプルを参照させたりできます。
営業プロセスとその進捗をメンバー同士で共有するには、CRMが便利です。商談ごとに営業プロセスの進捗を登録できるので、それを営業メンバー全員と共有すると良いでしょう。
集団維持機能の課題
東京商工会議所が2020年11月に行った調査によると、
テレワークを継続実施する課題として「社内のコミュニケーション」を上げる企業が最多となっています。
全体(n=556) | 発令前より実施(n=281) | 発令以降から実施(n=272) | |
---|---|---|---|
1位 | 社内のコミュニケーション57.9% | 書類への押印対応61.6% | 社内のコミュニケーション57.4% |
2位 | 書類への押印対応56.7% | 社内のコミュニケーション58.4% | 書類への押印対応51.5% |
3位 | 労務管理・マネジメント51.6% | 労務管理・マネジメント54.4% | PC等の機器やネットワークの整備51.5% |
4位 | ペーパレス化45.0% | ペーパレス化45.2% | 労務管理・マネジメント48.9% |
5位 | PC等の機器やネットワークの整備43.3% | 取引先とのコミュニケーション38.4% | 情報セキュリティ体制44.5% |
非対面ならではのコミュニケーションの課題として、以下が考えられます。
- 教える側は対面で褒めたり悩みを聞いたりできない
- 教わる側が相談しにくい雰囲気がある
- 誰に相談すればいいのかわからない
在宅勤務の場合、相手の様子がうかがえず、話しかけていいのか悩んでしまう方も多いです。
そのため、在宅勤務でもオフィスでの勤務と同じように、教える側と教わる側のコミュニケーションが取りやすい環境を整える必要があります。
顧客管理ツールとして導入されるCRMを、営業組織のコミュニケーションツールとして活用できれば非常に合理的です。
また、教育担当者は、CRMに入力されたメンバーの業務進捗を確認しながら承認のメッセージやフィードバックを送ることで、新人をモチベートできます。
Zoho CRM のSFA機能を使えば、テレワークの営業教育がスムーズに
タスク管理機能
営業活動の中で発生するさまざまなタスクを一元的に管理できます。タスクごとに期限や優先度を設定し、タスクリストとして一括管理できるため、新人の営業担当者でも優先的に対応すべきことが一目でわかります。タスクはチームメンバーにも共有されるので、教育担当者はその詳細や進捗をその都度チェックできます。
スケジュール共有機能
顧客との商談予定をCRMに登録することで、自動的に自身のスケジュールに反映されます。オンライン商談への同席や社内会議の日時もスムーズに調整できます。また、タスクの対応期限や予定のリマインダー通知機能もあります。
ブループリント
ブループリントは、営業プロセスを設計図のように描写する機能です。
例えば、「ヒアリング」という「状態」に対して、「予算の確認・入力」という「移行」条件を指定すれば、顧客の予算を必ず確認しないと次の営業プロセスに移行できないように設定することができます。
ブループリントはToDoマニュアルとして機能し、すべての営業担当者が営業プロセスに従った活動ができるよう、マネジメントします。
フィード機能
フィード機能は、商談の受注や進捗状況がCRMに登録されると、関係するメンバーに情報を共有します。フィードには、共有したい情報を追加で投稿したり、質問を投げかけたりすることもできます。
例えば、新人の営業担当者がアポイントを獲得した時に相談を登録したとします。この相談は自動的にフィードに投稿されます。
このフィードを見た他の社員は、必要なアドバイスを送信できます。
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